教室通信

今年は梅の花が早くやってきました。
梅の花が咲くと、周りが寒くても、途端に春を感じるから不思議です。
南の島に行って、南を感じるのは、その気候よりもそこに生えているヤシの木の存在のような気がします。まず光が変わっているかもしれませんが、それだけではその変化には気づきにくいものですが、
光の変化によって目に見える植物の世界が変化することで、春を感じるような気がします。
写真の梅の枝は光を受けて反射する枝と、光をその中に宿し、暗い背景の前で輝く梅の花からできています。光を反射する枝は、根源的な遠い光の世界に思いをはせるような、懐かしい未来のような感じがします。花の色はそれに対して今この瞬間の中に入っていく感じがします。
最近よくやることは、自分自身が木の枝になることです。これは冬の葉を落とした木でやるのが最適です。下の幹から、もしくは枝の根元から木がどのように枝分かれし、どのように曲がりながら枝先に向かって流れていっているか、を五本の指を使ってたどり、自分の心の中にその流れを再現することをやってみます。そうすると、自分の中がその木の流れと同じように流れだします。
その体験をすると、どれほどたくさんの流れの形があるのかに驚かされますし、同じ種類の木でも一本一本これほど違うのか、と気づかされます。そして、どの形も素敵な流れに感じ始めます。
たぶん、自分自身を機の流れと同じ形にしてしまっているのだろう、と思います。
鮮やかな感じがします。
すかしたk寒さが続いているかと思ったら、梅の花が咲き始めました。途端に、光の中に春の香りと暖かさが混じりこんだようで、あたりの寒さの中で心がとけていくような感じがします。
木の枝ぶりは同じように見えますが、一年一年確実に枝を伸ばし、その下の枝は太くなるということでバランスを取っています。変化していく中で自分自身の形を保っています。
子どもたちにも大きな変化が訪れますが、その変化を受け止めながらその木を大きくしていってほしいと思います。

12月22日に水絵の子どもたちと由布岳登山をしました。
雨が予想されたのですが、実際に登ってみると空が明け、霧が晴れてき、良い天候になりました。
そして、山頂について下の火口跡を眺めると、なんとブロッケン現象が現われました。
本来、ご来光と言って、日の出や日の入りの時に現れるもので、こんな昼間に現るなど、全く期待していなかったので大変な喜びです。また、悪天候を想定して登って行っただけに、その喜びは格別です。ブロッケン現象を体験するのはこれが二回目です。前回のブロッケン現象は山形県の月山で体験しました。その時は集中豪雨警報が出ていて、登り始めは五里霧中の中、「なんで、こんなことやっているだろう?」と自分を笑いながら登りました。途中、その霧を抜け空が広がってきました。そして、そこに広がった世界は、得も言われぬ美しい世界でした。広がる雲海の中にそびえたつ峰と遠くの山々、沈む夕日によって雲海の世界は黄金色に染まっていきました。
次の日、山頂に登った時に、探し、探してやっとブロッケン現象を見ることができました。
このことから、私は大切なことを学んだような気がします。
自分が大変な状況に陥った時、先は真っ暗で絶望的な状況の中にありながら、とにかくできないと諦めない、先が見えない中、とにかく一歩一歩進んでいく、そういう勇気をもらったような気がします。
さて、このブロッケン現象のにはもう一つの秘密が隠されています。雲に映っている人の影は4つあります。その中で私の影(右から2番目)だけがまっすぐに立っていて、ほかの人の影は斜めに傾いています。そして、虹の輪っかは私の頭の影を中心にできています。ほかの人の頭には虹ができていないのです。不思議なことですが、右の人が写真を撮ったとしたら、私の影には虹の輪がなく、右の人の頭を中心に虹ができています。私は右の人にできている虹を決してみることはできません。それぞれの人に、その人しか見えない虹ができているのです。とても不思議なことですが、これって自分のことを私と呼んでいることと関係性がありそうな気がします。虹などの空に生まれる色彩現象は、私とは関係ない外の世界に起きていそうですが、実は私という存在が虹の存在を生み出しているのです。このことに私は大変勇気づけられます。

今年も残り少なくなりました。教室もクリスマス会で今年も終わりです。
アッという間に一年が過ぎていったような気がします。子どもたちは毎回通ってくれて、
一緒に行事を体験し、そういう中で育っていってくれています。
私がやれることは、本当にささいなことですが、繰り返しの中で、何か力になってくれているものがあると願っています。シュタイナー教育の学びの中で力になる考え方やイメージをもらったりしています。自分自身でもたくさん発見したことがありました。そのような学びをたくさんさせていもらったような気がします。そんな学びのイメージをクリスマス会の時に、子どもたちへの言葉としてプレゼントしています。なかなか大変な作業ですが、自分の中からイメージを引き出し、言葉にしていくことは、私にとってとても良い行為となります。今年も子どもたちに言葉を送ることができることに感謝したいと思います。
そんな中で、私自身にとって、自分の指針にもなっている大切な言葉がいくつかあります。
そのうちの一つはゲーテの言葉です。
ゲーテは学ぶということについて、とても面白いことを言っています。
「学ぶ、ということは、一つ不思議なことが増えることだ。」と言っているのです。
これ、どこかで書きましたっけ?学んでいくということは、世界が不思議で一杯になることだと言うのです。知れば知るほどわからなくなるということに、自信を持ちたいと思います。
もう一つもゲーテの言葉です。
「もし、自然がその公然たる秘密を打ち明けようとし始める時、打ち明ける人には、自然の解釈者である芸術という女神への抵抗できないあこがれが生まれる。
芸術的な表現をしたいと思ったときは、自然の秘密が開かれている瞬間であり、本質的なことは、芸術的な手段を取らないと伝えることができない、というとても大切なイメージをもらっています。

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