田んぼの稲が黄金色に色づいて、その周りには朱色の曼殊沙華(彼岸花)が色合いを添えています。春の、花の色合いの時期から夏を経て、またあたりには鮮やかさがやってきました。
夏の間、おとなしくしていた草たちも、また急に伸び始めています。
時を同じくして、堤防の土手や草原では、ススキの穂がその銀色のしぶきを空に向かって放っています。夕方、真上に半分の姿で出ていたお月様が、日々太りながら東の方に移動し、満月になったときに、中秋の名月のお祭りが訪れます。ススキたちもその準備で大忙しのようです。
春から夏にかけて、ススキは葉だけを茂らせていますが、穂はその根元あたりで、葉たちに包まれながら成長し、秋になって一気に立ち上がっていきます。
稲も同じように、その穂を根っこのところに携えていて、農家の人は稲の茎を触りながら、いま穂が真ん中あたりまで来ているな、と確認します。
いちど、麦が葉に包まれて根元のところで育っている様子を撮った写真を見たことがありますが、とても印象に残りました。子どもたちの内的な成長と重なるような気がします。
夏の間に、穂の出ていない、稲やカヤ(ススキ)を見て、その根元に穂のこどもが育っているのを想像してみるのも楽しいかと思います。
彼岸花に関して、最近知ったことがあります。それは、彼岸花は種を作らないということです。
ということは、彼岸花は球根で増えることしかできないことになります。
子どもたちに、球根と種の違いを質問すると地面の中か、植物の上か、という答えが返ってきますが、一番の違いは、球根で増えたものは同じ遺伝子を持っており、種で増えたものは、違う遺伝子を持っているということです。つまり、日本中の彼岸花は同じ遺伝子を持ったクローンということになります。最近見られる黄色い彼岸花はどうなんだろうな?とも考えます。
植物の世界は不思議です。